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私たちの街に暮らす
素敵な人々



 私たちの身近には、すてきな人々がいっぱい。
今回は「いろいろな職業で活躍する人々」をテーマに、インタビューをしてみました。

  庭師
  枝洋一さん   筑西市

 みなさんは、「TVチャンピオン」という番組を見たことがありますか。今回はそのガーデニング王選手権で2度も優勝している枝 洋一さんにお話をうかがってきました。
Q.庭師として毎日どのようなお仕事をされているのですか。

 お客さんへの相談対応、設計、実際の庭づくり、研究、そのほか社長としての仕事もたくさんあります。ぼくは、一般のお客さん相手に庭づくりをしていますから、 国や県、市町村に頼まれる公共事業とはちがった仕事も多いです。

Q.枝さんにとっての「庭師の仕事」とは?

 ただ木を植えたり、街路樹の剪定(せんてい)をしているだけではないんですよ。庭師の仕事の根っこは、奥が深い。

 庭師と同じように「師」という字がつく 仕事の一つに、「医師」というのがありますね。お医者さんのことです。お医者さんは、ぼくたち一人一人の人間の体をなおしますよね。それとちがって、庭師は、地球全体をなおす仕事と言えます。

  きれいに描くのではなく、命を吹き込むようにして描いているというデッサン。なんとインタビュー当日、このページのために描いてくださいました。

 

Q.“地球全体”をですか?

 はい。簡単に言うと、庭師の仕事は「環境整備」なんです。

 人間は、酸素を吸って、二酸化炭素を吐き出すけれど、植物は逆ですよね。それ以外にも人間とは逆のはたらきをする植物を、人間の生活の中に入れていくことで、地球のバランスをとるのです。

 次の時代をつくっていくのが、ぼくたち庭師だと思っています。
 

Q.庭師は医師よりもだいじな仕事かもしれませんね。

  いいえ。どっちの仕事がえらいとか言っているわけではないですよ。どっちも大切です。ぼくは、働くということは、自分が一生懸命がんばることで、少しでも人を楽にしてあげることだと考えています。 仕事は人の役に立つためにやるものです。そういう仕事はどれも大事ですし、人としてやらなくてはいけないことだと思います。


真剣にデッサンを描く枝さん。

Q.その中でも、庭師という仕事を選んだのはどうしてですか。

 ぼくは、農家の長男だったんです。姉が2人いて、その下に初めて生まれた男の子でした。小さいときから、お前はここの跡取りなんだからと言い聞かされました。夢なんてありませんでしたよ。高校は 親の望むとおり、農業高校に行きました。

 でも、大学に入るときに、このままでいいのかと初めて疑問を持ったんです。「これからの時代は、農業だけではやっていけないのではないか」「それなら農家の土地を生かして、自分にできる 一番近いものは何か」と考えて、この道を選んだわけです。

 家が農家じゃなかったら、造園界に入っていなかったでしょうね。選択肢が限られていたから、逆によかったのかもしれません。

Q.大学では、どんな学生だったのですか。

 一念発起して東京農業大学造園科に入ったものの、授業はほとんど出ず、成績もぎりぎり。やっと卒業できるような学生でした。でも、卒業論文だけは、2年くらいかけて一生懸命書きました。そのときの卒業論文が今の自分 をつくっていますね。

 その論文は、「緑は人間の目にいいと言うけれど、本当にそうなのか」という疑問から出発したものでした。結局そんなの人間の心の問題ですから、答えは出ないんです。でも、いろいろ調べて考えた結果、自分が たどりついたのは、「天地万物は一体である」ということでした。植物の緑色は、同じ生きているものとして、人間が一体感を感じる色なのではないでしょうか。

ヤマモモの実を見つけ、優しくさわる枝さん。

 
Q.それが庭づくりの原点なんですね。

 そうですね。 ぼくのつくる庭は、ものをつくる原点がちがうと考えています。大学卒業後、7年間京都で修行をし、茨城で独立しましたが、ずっとこの原点をみがきつづけてきました。ぼくは、易学、風水学、五行学、気象学など、 今までの人類がつくりあげてきた学問を基本にし、未来のことまで考えてものをつくります。

 そのために、時間さえあれば勉強をしています。

 

Q.勉強までするなんて、大変ではないのですか。

  「しんどくないですか」「よくやりますね」って よく言われますよ。でも、夢があるからどこへ行っても頑張れます。世の中でぼくをまだ必要としている人がいる限り死なない、という思いでいます。

 今の夢は、社会人相手の実践校をつくばにつくることです。目立つのはあまり好きではないんですが、この仕事を世の中に伝えるためにテレビにも出たんです。

 世の中って不思議なもので、勉強すればするほど、つながってくるんですよ。庭をつくるだけではなくて、そのつながったものをみんなに伝わりやすい形にすることも、自分の義務だと思っています。

枝さんの作品のひとつ。夜の照明も庭づくりには大切なポイントです。

 

  つくば市にある展示場。
 専門知識を持ったスタッフが、花の販売もしています。

Q.最後に、みなさんへのメッセージをお願いします。

 ぼくは、庭師の仕事がすばらしいと思うからやっています。いろいろ言ってきましたが、ぼくがもっとも誇りに思っているところをお話しますね。

 庭師の仕事の究極は、誰もが気づかないところにそっといい環境をつくっておいてあげることなんです。そしてその環境が、人をよく育てていきます。

 いつだって、それができたら最高ですね。

展示場の前で。

 皆さんのまわりにも、誰かがそっとつくっておいてくれた環境があるかもしれません。見渡せば、私たちはたくさんのものに囲まれて生きています。そのもの一つ一つに、ここまでの人の努力と思いが刻まれているとしたら、世界を見る目が変わってきませんか。

 
枝さんのやっていることについてもっと詳しく知りたい方はこちら
   (枝さんの会社のホームページ)

(インタビュー マツイ)

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